「親ってものは口ではどんなことを言っても、子供がかわいくてしかたないものなんですよ。私達は、ただ沙那に幸せになってもらいたいと思っています。

もちろん私が会社を経営していることに変わりはありませんが、いざとなったら他に経営を任せることだって出来ますからね」


そうは言うものの、どこか辛く悲しげな目をしている。


ずっと自分が携わってきた会社だ。思い入れもあるはずだし、安心して引退したいし、見守っていたいだろう。


沙那さんを思っての決断だろうが、辛いものであることは体から滲み出るほどに感じられた。


その時、後ろで何かが落ちる重い音がした。振り向くと顔色をなくした沙那さんが立っていた。