沙那さんが部屋を出て、ある程度遠ざかったと思えた時、お母さんが口を開いた。
「あの子は独りっ子なのよ。我が儘でごめんなさいね。相模くん、振り回されているでしょうね」
「そんなことありません。沙那さんはいつも一生懸命なんですよ。仕事だって、すごく丁寧なんです」
そう言ってサイドボードのアレンジ・フラワーを見た。お母さんのイメージに合う、淡いピンクのなかに引き締めるようにグリーンの葉っぱが加えられていて、甘いだけじゃなく洗練された美しさがあった。
それはどこか沙那さんに似ている気がした。
「こんな風に母親が入院しているから、沙那さんも安心させたいと思って、彼氏を連れて来たのでしょう?相模くんは気にすることなんてないのよ、まだ若いのだから。すぐ結婚して欲しいなんて言われてないかしら」
申し訳なさそうにベットの上で小さくなっている。はかなげな姿がますます小さく見える。



