「…はぁ。
もうすぐでお父さん帰ってくるのよ。
里沙がいなかったら、また何て言われるか…」
…なるほど。
心配しているのは、里沙じゃなくて、自分か。
…前からだよな。
この女が、相手より自分を優先させるのは…。
「アンタは部屋で大人しくしていなさい」
「……わかった」
パタパタと、スリッパの足音を響かせ、階下へ降りて行く母さん。
下から、使用人に里沙を探しに行くよう命じている声がした。
俺は再び扉を閉める。
今度は、ピッチリ、隙間なく。
そしてその場に、ペタリと座りこんだ。
…もう、嫌だ。
こんな世界、嫌だ。
最近、面白いオモチャを見つけたのに。
アイツが邪魔するから、心から面白いと感じられない。


