コイツがいるから、間延び口調にはなれないけど。
リサは本当は、妙子の前見たく、間延び口調でいたいの。
そっちの方が慣れていて、話しやすいから。
『今日、里沙用事あるって、ショッピング行けなかったじゃない?』
「うん。
今日はごめんねぇ、妙子ぉ」
『良いの、気にしないで。
今度、また一緒に行っても良いかな?』
「当たり前じゃなぁい妙子!
妙子が一緒じゃなきゃ、つまんないよぉ!」
『そう言ってくれると、嬉しいな』
リサは、妙子に気が付かれないようにしたけど。
笑いながら、何故か涙がこぼれていた。
『じゃあ、また明日ね』
「うんっ…!」
通話終了ボタンを押す。
リサはポケットに仕舞い、立ち上がる。
そして、アイツに向き直った。
「悪いけど、やっぱり言えない。
殴りたいならいくらでも殴って良い。
リサは絶対に何も言わないから。
だからといって、妙子に何かしたら、許さないから。
妙子が何かされたら、リサはすぐに久我山美海の所に行く。
久我山美海が、久我山財閥の令嬢ってこと知っているんでしょ?
だったら、アンタを探しているってことも、知っているよね?
そうでしょ?
“スクール・キラー”さん?
いや……
お兄ちゃん?」


