妙子と別れて、裏庭へ向かう。
行きたくないけど、行かないと何て言われるか。
「……待っていたよ、りーちゃん」
裏庭で佇むアイツが、笑みを浮かべた顔を上げた。
「その名前で呼ばないでくれるぅ?」
「じゃあ何て呼べば良い?」
「普通に橘さん、て呼んでくれるぅ?」
普段は橘さん、と上で呼ばれたくないけど。
コイツだけは別。
「アハハ、酷いなぁ。
上の名前で呼ばれるの嫌いなくせに」
「アンタだけは別よぉ」
「…その間延びした口調やめてくれないかな?」
「じゃあアンタも、その笑顔止めなさいよ」
リサが言うと、ソイツは笑顔を消した。
「そんなに固くならなくて良いよ、りーちゃん」
「うるさいっ!」
やっぱりリサは、コイツが嫌いだ。
この笑顔も、顔も、声も、見た目も。
天使の仮面を被った悪魔が、
リサは、大嫌いだ……。


