授業が始まったけど、リサは先生の話を聞いていなかった。
窓際の席なので、ぼんやりと景色を眺めていると。
衣替えをしていない、ブレザーのポケットに仕舞ってあるスマホが、静かに振動した。
この学校は、スマホやケイタイを持ってきても良い。
ただし、先生に預けることを条件にしている。
…まぁ、リサも含めて、真面目に預けている人なんて、きっと片方の指で足りるぐらいにしかいないんでしょうけど。
見つかったら没収だから、リサはブレザーから素早く取り出し、机に隠すようにして画面を見た。
授業中だからマナーモードに設定しているけど、先生は全く気が付いていないみたいだ。
耳鼻科に行った方が良いんじゃないの?と思い、届いたメールを見る。
<真面目に授業受けないと駄目だよ(笑)
あとで、体育館裏に来て。
里沙が知りたいこと、全部教えてあげるよ。
ただし、
里沙が知っていること全て、教えてね>
この、上から目線も、本当に嫌い。
リサは返信せずに、再びスマホを仕舞った。
ただし今度は、メールが来てもバレないように、鞄の中へだけど。
チラリ、と後ろを見る。
誰もいない、妙子と久我未美子の席。
そんな久我未美子席の近くにいる、メールの送り主を見て、眉間に皺が寄るのが自分でもわかった。
誰が。
誰が教えるものですか。
アンタなんかに、教えないから。


