「失礼します」




救急箱を持ってきた村瀬が、あたしの顔や身体中に絆創膏を貼っていく。

消毒液がいちいち沁(し)みて、痛みを感じた。

…アイツら…やりすぎだよ!





「お嬢様、何でこんなにお怪我をなさっているのですか?
理由、話していただけますよね?」

「…………」

「ご安心くださいお嬢様。
旦那様や奥様には言いませんよ」

「……ありがと」




さすが、あたしが物心つく前から一緒にいる執事だわ。

あたしが思っていること、何でもお見通しなんだから。

あたしは素直に、村瀬に話した。




お父様やお母様にバレちゃ駄目。

きっと今すぐ、転校だって騒いじゃう。

心配性だから、お父様もお母様も。




そして同時に、責めてしまうかもしれない。

自分たちが、“あの計画”のために、あたしを送りこんだことに。

“あの計画”を成功させるためには、あたしは我慢しなくちゃいけないの。




正確な期限なんてない。

“あの計画”を終わらせる日を決めるのは、実行者であるあたし自身。

あたしが“やめたい”と言わない限り、卒業するまで続いて行くシステム。




しょうがないの。

本当は嫌だし、やりたくないけど。











繰り返さないため。

……あの、忌まわしき事件を……。