今の説明でわかったと思うけど。

あたしはこのクラスでいじめに合っている。




財閥の令嬢をいじめるなんて度胸ある。

…度胸なんてあるわけないじゃない。

久我山の人間をいじめたらどうなるかだなんて、佐山妙子だってわかっているはず。

…じゃあ何故、あたしをいじめるの?




理由は簡単。

あたしが地味な上、久我山の令嬢だと知られていないから。




学校の教師とかは、あたしが久我山美海で、久我山財閥を継ぐべき令嬢だって知っている。

だけど生徒の中で知っている人物はいない。



あたしは偽名を使って、この学校に通っている。

偽名は、久我未美子(くが・みみこ)。

本名の久我山美海と似ているから、バレないかなって最初は心配したけど。

佐山妙子を始めとするクラスメイトは、あたしが久我山財閥の令嬢だと露ほども思っていないだろう。

だから地味なあたしを、簡単にいじめることが出来るのだ。




確かに、自分でも地味だと思う。

あたしはホームルーム中、先生の話を聞きながら、自分の姿を見る。



腰よりは上だけど、長く真っ直ぐ伸びた黒髪。

前髪も長く、顔の半分ほどが簡単に隠れてしまう。

スカートは膝下、なんて言葉じゃフォローできないぐらい、踝(くるぶし)まで長い。

制服も校則違反なんて全くしていないし、化粧なども施していない。




良く言えば、模範生・優等生。

悪く言えば、地味・個性がない。



この高校に入学して2ヶ月。

簡単にあたしは、いじめのターゲットとなった。