涙を流しながらも、あたしは頑張って笑った。

すると、自信なさげに顔を上げた真宮くんも、笑ってくれた。





「ありがとう、ミミちゃん。
そう言ってくれると…嬉しいよ……」

「だって、本心だもの。
嘘なんかじゃ、ないからね!」





名前も、身分も嘘だけど。

さっき言ったのは、嘘じゃないから…。





「じゃあ、行こうか。
上履き、借りれたみたいだね」

「うん。
早く行かないと、遅刻になっちゃうよ!」




真宮くんはさり気なくあたしの手を握って、歩き出した。

あたしはドキドキしながら、そっと握り返した。





早く、見つけないと。

妙子が、あたしをいじめるきっかけを。

早く、見つけないと。





あたしの好きな人が、

誰よりも優しい好きな人が、

自分を責めちゃうから……。





好きな人には、

笑顔でいてほしいから……。