次の日。

校門から校舎への道を歩いていると、聞き覚えのある声と共に、肩を叩かれた。

振り向かなくても、誰だかわかる。





「おはよう、真宮くん」

「おはようミミちゃん」




整った顔立ちに、太陽のような明るい笑みが広がる。

つられてあたしも、笑った。





だけど。

その笑顔も、高まった嬉しい気持ちも、すぐに消えた。





「……ッ!?」




下駄箱を覗くと、靴がなかった。

もぬけの殻だ。




「ミミちゃん?どうかした?」




上履きを履いた真宮くんが、首を傾げながら聞いてくる。

あたしは急いで、下駄箱の蓋を閉じた。





「ごめん真宮くん。
あたし職員室行って教室行くから、先に行っていて良いよ!」





震えてしまう声で、何とか早口で話すと。

あたしは真宮くんの横を通り過ぎ、職員室へ走って行った。