真宮くんの話を聞きながら教室へと入る。

…やっぱり一斉に、皆がそれぞれのお喋りを止めた。

前の扉から入ってきたあたしと真宮くんを、まるで汚い物を見るかのような目で見つめてくる。



あたしはともかく。

真宮くんまで、そんな目で見ないでよ…。





「久我さん、真宮くんと仲が良いのね…」



自分のとりまきたちと一緒に話していた妙子が、意地悪く微笑む。




「佐山さん。
僕が誰と仲良いとか、関係ないはずだよな?」




真宮くんは、妙子があたしをいじめていることを知っている。

それを見て里沙が笑うことも。

クラスメイトが黙って傍観していることも。





「そうね…」




バツが悪くなったのか、妙子が口ごもる。

真宮くんは笑顔であたしを見て、「席に行こう」と言ってくれる。

あたしはロボットのようにぎこちなく頷き、自分の席へ向かう。





妙子が何故、あたしをいじめるのか、その理由は知らない。

だけど、大体の予想はついている。