だけど、楽しい話はそこまで。
お父様の咳払いから、本題に入った。
『美弦。
キミのことは、調べはついているし、美海からも聞いている。
小学生の時も、中学生の時も、本当のことなんだな?』
『……はい。
僕が、かつて“スクール・キラー”でした』
『何故キミは、中学の時、一緒につるんでいたであろう仲間が補導された時、何も言わなかった?』
『…僕は彼らを、仲間だと思っていませんでした。
確かに彼らとはつるんでいましたが、僕が彼らを仲間だと思ったことは、1度もありません。
ですから、何も言いませんでしたし、自分が“スクール・キラー”だと名乗り出ませんでした』
『何故だ?
何故仲間だと思っていなかった?』
『僕は当時、何も信じられなかったからです。
僕を仲間へと誘ったのは彼らです。
ですが当時の僕は、この世の全てを、信じることが出来ず、彼らともうわべだけの関係でした。
話していたのも放課後だけで、普段はすれ違っても話しかけるなと言っていましたから』
『補導された彼らは素行が悪い生徒ばかりだった。
何故、そんな彼らに話しかけるなと言えたんだ?』
『…当時の僕は荒れていて、自分に何か意見をした人と喧嘩することも珍しくありませんでした。
僕は彼らとも、何回も衝突し、喧嘩をしました。
彼らは僕に勝てることなど一切なく、素直に僕に従ったのです』
淡々と、お父様の質問に答える美弦。
正直、耳を塞ぎたくなるような、美弦の過去。
だけど、彼女になるんだから、あたしは全て聞いておきたかった。
『信じられない、と先ほどキミは言ったが。
キミの本当のご両親の離婚のことが理由かい?』
『……いえ、違います』
『では、こっちかな?
キミの両親の間の、秘密のことかな?』
『……!
本当に全て、お調べになっているんですね…』
お父様から、仕事で忙しいから会えないと言われていた。
だけど、本当は仕事などではなかったのだ。
調べていたのだ。
美弦の、過去…全てを。


