「失礼ですが、お勤め先はどちらですか?」
「へ?」
間抜けな声を出す美人さん。
だけど我に返り、答えてくれた。
「山我(やまが)フーズだけど…」
山我フーズ。
その名前に、あたしはほくそ笑んだ。
「ご存知ですか?
山我フーズは、我が久我山のグループ会社だと言うことを」
「し、知っているわよ…?」
「じゃあ何を隠しているのか教えてくれますよね?
久我山の令嬢で次期社長であるこのあたし・久我山美海に」
「……ッ!?」
「あ、もしかしてそれでも言わないつもりですか?
だったらあたしも!」
あたしは鞄の中からスマホを取り出す。
美人さんに見せながら、山我フーズの社長の名前を、電話帳から探す。
「山我フーズの社長さんって、凄く優しいんですよ?
社員のこと、凄く信頼しているんですよ。
そんな社員であるアナタが息子へ何かしていたって聞いたら、社長さん怒っちゃいますよねぇ?」
親指を、スマホの画面へ近づけていく。
タッチする所は、社長のケイタイに電話をするボタンだ。


