「……美海がそこまで言うなら、良いだろう…」
お父様は渋々と言った感じで、頷いた。
お母様はにっこり笑ってくれていた。
「ただし、彼をここへ連れてきなさい。
委員会の決まり事であるからな」
「はいっ……」
あたしはハンカチを鞄に仕舞い、村瀬の名前を呼んだ。
リビングの外で待機していた村瀬が、あたしの傍で一礼する。
「今すぐ真宮くんの家に連れて行って」
住所の書かれた個人情報の紙を渡し、村瀬に命じる。
「それとね、村瀬。
あなたにも確認してほしいの。
あたし、真宮くんのこと、好きでいても良い?」
村瀬はあたしが物心つく前から一緒にいる、優秀な執事だ。
あたしの何もかもを知っていて、隠し事が絶対に出来ない相手。
「勿論でございますよお嬢様。
廊下まで聞こえてきました、お嬢様が旦那様を説得する声が。
普段から大人しく、いじめられても何があっても決して弱みを見せず、いつもお一人で部屋で泣いていたお嬢様が、今の高校に入学されてからは、生き生きとした表情が見られるようになりました。
わたくしに、真宮様への気持ちは何だと聞いてきて、わたくしが恋だと言った時も、お嬢様は顔を真っ赤にしながら、嬉しそうにはにかんでおりました。
わたくしは真っ直ぐに真宮様に恋をするお嬢様に、お好きな道を選んでもらいたいと思っています。
お嬢様が決め、お嬢様が幸せになる道を、お選びくださいませ」
にっこり笑った村瀬に、あたしは思わず抱きついた。
「ありがとう!村瀬。
今すぐ、真宮くんの家に、スピード違反しないスピードで飛ばしてちょうだい!」
「かしこまりました、お嬢様」


