あたしがその人を好きだと言えるのなら、
どんな人を好きになっても、良い―――。
「あたし、真宮くんが好き―――…」
「あたくしは反対しませんわ。
誰を好きになろうと、美海ちゃんの自由だものね。
あたくしがお父様を好きになった時も、あたくしのお母様―――美海ちゃんにとってはお祖母様ね―――が言ってくれたのよ。
その言葉を聞いて、お父様―――お祖父様も許してくれたのよ。
お父様のご両親も許してくれたわ。
恋愛は本人たちの自由であって、第3者である自分たちが言う立場ではないってね」
恋愛は、本人たちの自由―――。
お母様の言葉に、あたしは大きく頷いた。
「お父様にも言うわ。
村瀬にも言うわ。
村瀬はあたしが小さい頃から一緒にいる、家族だもの」
力強くあたしが言った時、リビングへお父様が入ってきた。
手には、紙を持っていた。
「美海、よく聞くんだ。
まず、これを見ろ」
お父様がテーブルに置いた、1枚の書類。
久我山財閥を表す、久我山の字を崩した紋章の判子が押されている。


