……結局、里沙は反論するばかりで。
佐山との秘密を話そうとしなかった。
途中で聞くのを止めたのは。
羨ましくなったからだ、どうしても。
周りから見ればそうでもないけど。
里沙と佐山の間には、誰も立ち入ることの出来ない強い絆がある。
例えそれが、黒い秘密を共有することによって出来たとしても。
きっと2人は、何があっても離れはしないだろう。
その友情に、俺は少し羨ましさを感じた。
俺が手に入れられそうもないモノ。
目の前で見せつけられた気がした。
途端に、何もかも嫌になった。
何もない、空っぽな俺自身が。
外見だけで立派だけど、中身は脆い俺の“本当の家族”みたいで。
俺の実の父親は、あんまり覚えてねぇけど、かなり仕事が出来、人望もあったみたいで、周りからの評判が良かった。
母さんも、そんな父さんを支える、良き妻。
どちらも近所では評判が良かった。
…だけど……。
蓋を開けてみれば、アレだ。
思えば、知り合いやスーパーが多いにも関わらず、人里離れた家に住んでいたのも。
父さんと母さんが隠す、黒い関係を白日の元晒したくなかったからだ。
結局、外見だけだったんだ、完璧だったのは。
肩書も性格も中身も、“ツクリモノ”。
そんな両親の血を継いでいるんだ。
俺が、多くの人間の人生を狂わせることが出来たのは。
なんだ…。
考えてみれば、
簡単なコトだったんだ。


