「…な…なん…で……」
動揺し始める俺を見て再び佐山は鼻で笑うと。
席を立って、里沙の元へ行った。
戻ってきて、俺に普通の音量で話しかけた。
「アンタの言う通り言ってくるわ。
1つ、忠告してあげるわ。
……アンタ、裏切るなら早めの方が良いわよ。
後の方で裏切ると、久我さんの哀しみも増えるでしょうからね」
俺の横を、茶色く染めた髪を靡かせながら、通り過ぎていく佐山。
俺は佐山に対し、警戒心を抱いた。
前から、危険だとは思っていた。
俺に対して向けられる、睨むような鋭い目つき。
警戒心を帯びた声。
入学してから今まで、業務連絡でしか関わってこなかった俺らだ。
何で嫌うのか、当時はわからなかった。
―――今では、わかる。
佐山は、中学時代、唯一俺に対して意見し、アイツらにいじめられた奴だったんだと。
いじめた奴は大勢いて、佐山はその内の1人に過ぎなかったから、忘れていたけど。
佐山は、覚えていたんだ、俺のことを。
俺が、“スクール・キラー”と呼ばれていたことも。


