ギュウッと強く、締め付けられた気がした。
まるで、頑丈な鎖で縛られたような、そんな気が。
何で。
何で泣くんだよ。
泣くなよ。
泣かないで、くれよ。
無意識のうちに心の中で唱えている自分に、驚いた。
俺じゃ、ない。
かつての俺じゃ、ない。
何でこんなに動揺して戸惑って、苦しくなってんだ。
泣くな、なんて願っているんだ。
…わかんねぇよ。
自覚している。
俺の人間的感情が欠けているって。
喜怒哀楽なんて存在しなくて、在るのは苦しんでいる人を見て感じる嬉しさだけ。
それしかねぇんだ。
だから、わかんねぇよ。
……何で、こんなに苦しいんだよ……。
彼女は、笑った。
涙を浮かべた瞳を、細めて。
……綺麗に、笑った。
常々邪魔だと思っていた前髪をかき上げて。
彼女の思わず息を飲むほどの、美少女と言う単語が似合うほどの顔が、露わになった。
「今までありがとう真宮くん。
あたしの力になってくれて。
真宮くんがいてくれたから、あたしは強くなれたんだよ。
……大好き、でした」
大好き、“でした”と過去形で俺に告白する彼女。
嘘だと、思えなかった。
まるで、
世界に俺らしかいない、
そんな不思議な錯覚になった。


