次の日。
彼女は、僕に驚くべきことを聞いてきた。
「……真宮くん。
好きな人って…いる?」
少しだけ真っ赤な顔と、目尻の下がった不安げな瞳を向けたまま、彼女は聞いてきた。
俺は驚いて、その場に立ち止まった。
誰が見てもわかるように、動揺してしまう。
初めての気持ちに、俺は戸惑いを隠せなかった。
「……はぁ…」
戸惑う気持ちを抑えるため、俺は溜息をついた。
何て答える?
…未美子ちゃんが好きだって言った方が、何もかも上手く行く?
無意識のうちに考え、気が付いた時には言葉を発していた。
「…僕、彼女はいないよ。
好きな人は…いる、けど……」
本当はどちらもいない。
こんな最低な俺に、彼女なんて出来るわけがない。
心の中で大きな溜息をついて彼女を見ると。
澄んだ彼女のふたつ目から、
輝く涙が、こぼれ落ちていた……。


