「ああ。
お前、今は別人みたいに地味じゃねぇけど、入学当初は地味だったろ?
それで、コイツはいじめのターゲットになる。
俺は、お前がいじめられる姿を、1番身近で見たかったんだよ…」
いじめられる姿を見たかったから。
1番身近で。
彼女が苦しみ、泣く姿を、慰めるフリをしながら見たかった。
……それが、美弦の、美海へ近づいた、理由だった。
「もしかしてお前、俺が本当に優しさで近づいたかと思ったか?
…オメデタイ頭しているな?
誰がお前みたいな、地味でブスな奴に近づいて優しくするかよ。
少なくとも俺は、そんなこと絶対にしないね。
だけど、お前に近づいたことは、誤算だった」
誤算……?
美海が首を傾げた。
「俺はお前が泣いて、苦しんで、自殺したいって思うことを楽しみに、お前に近づいたって言うのに。
お前は絶対に、弱音なんて吐かなかった。
たまに泣いたけど、その後は必ず笑顔で、俺に礼を言う。
…マジであり得なかったよ、アレは。
俺はお前を笑顔にするために近づいたんじゃねぇ。
お前が不幸になるのを見たかったんだよ!
…でも、優しくしておいて良かったこともあったな」
ふっと面白そうに笑う美弦とは反対に、
美海は静かに、涙を流し始めていた。


