放課後。
今日も憂鬱な、いつもと変わらない毎日を過ごした。
あたしは学校から自宅まで、徒歩で帰っている。
“お嬢様はリムジン”とかいう方程式があるけど。
あたしは一度も、リムジンで通おうなんて思ったことない。
リムジンに乗って、通学したり帰宅している姿が見られたら。
全部全部、台無しだもの。
折角、ここまでやってきたの。
それぐらいで、台無しにされてたまるものですか。
あたしの自宅は、学校から徒歩30分ほどの場所にある。
パッと見、少し門から家まで遠い、ごく普通の一軒屋。
だけど、家を囲む塀は、かなり遠くまで続いている。
これが、今回お父様に用意してもらった、久我家。
久我山家―――実家ではないから、この久我家は別荘と同じ扱いだ。
久我、と彫られた表札の下にあるインターフォンを押す。
すぐにメイドが出たので、「未美子です」と名乗る。
「かしこまりました」の後、すぐに豪奢(ごうしゃ)な鉄の門が開いた。
素早く、誰もいないことを確認して家に入ると。
玄関の所に、隙間なく燕尾服を着こなした男性が立っていた。


