きっと、両親は少なからず、何も読めない美弦を、怖がっている。
里沙も、どこか怖いと思う。
笑顔を絶やさないし、困った時は助けてくれる兄だけど。
かつては“スクール・キラー”の異名を持っていたほどだし、本気で怒らせたり、敵に回してはいけない人物だと、里沙は確信していた。
「僕ら兄妹でしょ?」
「そうだね。
だけど、リサの兄を勝手に名乗らないでよ」
どこが嫌いなのか、具体的には言えない。
だけど、嫌いなのだ。
美弦がずっと隠しているであろう、心の奥底に渦巻く黒い感情が。
「……ところで、どうして僕の正体勝手に明かしたの?」
「…知りたいから」
「何を」
「アンタの…気持ち、を」
半分だけど血の繋がっている兄妹だ。
美弦の抱えているであろう闇を取り除けば、2人はきっと良い兄妹になれるだろう。
里沙にとって、美弦は自慢だった。
気持ちを知れば。
奥底の闇を知ることが出来れば。
“スクール・キラー”の異名をとるきっかけとなった話を聞けば。
自信満々に、胸を張って。
―――お兄ちゃんと、呼びたい。
それが、
里沙が美海の家に行き、“スクール・キラー”を捕まえてほしいと言った、本当の理由だった。


