葵は、一日中ずっと、椿のそばにいた。 ご飯を食べるときも、テレビをみるときも。 ずっとそばにいた。 夜になって、もうそろそろ二人が帰ってきてもいい時間になった。 葵は、椿と、父と母。どっちも気にしていた。 すると、一本の椿から二枚の花びらが散った。 それは、白い椿だった。 葵は、白い椿を楓。赤い椿を明彦に重ねていた。だから、母の楓を心配した。