シャーペンを走らせる音が教室中に響いていた。 喋るものはもちろんなく、皆一様にテスト用紙にかじりついている。 三時間目、物理の試験終了まで、後十五分。 葵は腕時計で時間を確認し、小さく息を吐いた。 その瞬間。 「そこ、何をしているっ」 監督教員の鋭い声が、静寂を破った。