「今日はありがとうございました。ごちそうにまでなっちゃって」



玄関で隼人くんがお母さんとお父さんにお礼を言ってる。



「いえいえ、またいつでも遊びに来てね」



そう言って微笑むお母さん。

相当隼人くんを気に入ったらしい。



「あたしそこまで見送ってくるね」



そう言って隼人くんと2人で玄関を出た。

すると隣で隼人くんが小さくため息をついた。



「はぁ、緊張した」



そう言って伸びをする。



「え?ホント?全然そんな風に見えなかったけど」



緊張してるなんて思わなかった。

普通にお母さんとお父さんとも話してたし、料理もバクバク食べてたし。



「そりゃ緊張もするよ~だって好きな人の両親だし」



そう言って笑いながらあたしを見る。

隼人くんはいつもストレートすぎる。

そう思いながらあたしは後ろに隠していた紙袋を差し出した。



「バ、バレンタインのチョコ。隼人くんはいっぱいもらってると思うけど…」



啓太に渡すときにはなかったドキドキ感がある。

この気持ちってなんなんだろ。

チラリと隼人くんを見る。



「ありがと。真子先輩」



ふわっと笑ってあたしからチョコを受け取った。



「俺、先輩にしかチョコもらってないから」



そう言ってニッと笑った。

最近思った。隼人くんは僕って言ったり俺って言ったりする。

まぁ、大して気にしてないけど。