理想の恋人って!?

 晃一の声が消え、かわりに背後から自動車のエンジン音が近づいてきた。軽自動車が私たちを追い抜き、そのテールランプが曲がり角を曲がって見えなくなったとき、晃一がボソッと言った。

「俺は変わらないけどな」
「え?」

 晃一を見上げると、彼はまっすぐ前を見ていた。

 〝俺は変わらないけどな〟

 つまり、晃一にはいつからかずっと好きな人がいて、その人を今でも変わらず想い続けてるということなのだろうか。彼が今までフリーだったのは、口が悪いせいでも態度が悪いせいでもなかったのだ。

 きっとその人は清楚なワンピースの似合う女性で、こうやって形だけ繕っている私とは違うんだ……。

 斜め前を歩く晃一の横顔はすごく真剣だった。私にはいつもニヤけた顔で憎まれ口を叩くくせに。

 そう思うと、胸がギュッと締めつけられるように痛い。

 こんな気持ちになるなんて……こんなふうに晃一に心を持って行かれてしまうなんて。やっぱりこんなデート、するべきじゃなかったんだ。叶わない恋に落ちてしまうくらいなら、晃一とは幼馴染みで、友達の彼氏の友達という関係のままでいたかった。