理想の恋人って!?

 そんなことをぼんやりと考えているうちに車は高速道路へと入り、ほどなくして誠一さんの住んでいる市内に着いた。国道を走るうちに、駅が見えてきた。その近くにある単身世帯向けマンションが、誠一さんの住んでいるマンションだ。晃一は敷地に駐車して、エンジンを切った。

「着いたよ」

 晃一が今までで一番低い声で言った。まるで何かの感情を無理に抑えているみたいに。

「ねえ、晃一、どうしたの? さっきからなんか変だよ」

 私が言うと、晃一がゆっくりとこちらを見た。ぶつかった視線が何か言いたげなので、私は彼を促すように小さく首を傾げる。

「今さ……兄貴の会社、大変なんだ」
「大変って?」
「業績悪化で人員削減が始まってて、ベテラン社員が早期退職したしわ寄せが、兄貴たち若い社員に来てるらしい。そんなときに彼女と別れて、兄貴、すごくまいってると思うから……」

 そういうニュースを新聞でチラッと読んだ記憶がある。それでも、今は企業のリストラのニュースは珍しくないので、誠一さんの会社もなんだ、大丈夫かな、と思っただけだった。けれど、それは会社勤めをしていない私が想像する以上に大変なことなんだ。