理想の恋人って!?

 晃一がもう一度ため息をついて、右手で前髪をくしゃりと掻き上げた。

「俺が我慢させたんだよな」

 そう言って腰をかがめたかと思うと、私の腰と膝裏に彼の手が回された。

「えっ」

 驚いて声を上げたときには、私は晃一にふわりと横抱きに抱え上げられていた。

「悪かったな」

 それはぶっきらぼうな口調だったけれど、晃一は私を気遣うようにゆっくり階段を上ってくれる。

 背中と脚を支えてくれる力強い腕、肩に触れる広い胸。

 小学生の頃、私と晃一は同じくらいの身長だった。それなのに、晃一はいつの間にこんなに背が伸びて、逞しくなったんだろう。私が成人して二十一歳になったように、晃一だって同じだけ大人になっている。

 当たり前のことなのに、私を抱き上げてくれているのが大人の男性なんだと思うと、胸がドキドキしてきた。

 でも、おかしい。こんなの絶対おかしい。

 だって、私の理想の恋人は誠一さんみたいな大人な男性で。

 それに何より、晃一の理想の女性は私とは〝真逆〟だって晃一が……。

 そう思ったとき、胸がチクリと痛んだ。

「あ、ヤバ。キーがポケットの中だ」