理想の恋人って!?

 晃一がしみじみとつぶやいた。彼の声が消えて車内にはFMラジオから流れる、しっとりした曲だけが聞こえる。さっきまでのモヤモヤした考えが浄化されそうだ。

 ふと気づくと晃一が目を細めながら前方を見ている。

「どうしたの、まぶしい?」
「じゃなくて……この近くだと思うんだけどな」

 晃一がそう言って、フロントガラスの先に視線を走らせていたが、すぐにホッとしたように肩の力を抜いた。

「あ、見えてきた」
「何?」

 ちょっとドライブしたらすぐ帰るつもりだったのに、晃一には何か目的があったんだろうか。

「すごく夕陽がきれいに見えるらしいよ」

 晃一がそう言ってハンドルを切った先は、堤防の近くの駐車場だった。駐車スペースは十五台ほどあるが、ほかに車は一台も駐まっていない。

 晃一がシートベルトを外して軽く肩を上下させた。今回は三十分ほど走らせただけだったけれど、朝から運転していたし、疲れたのかもしれない。

 ここは一応労っておこう。

「運転、お疲れ様」
「ああ、大丈夫。ちょっと外に出てみようか」
「そうだね。せっかくだし」

 晃一に続いて車から降りた。今はいわゆる凪の時間帯なのか、風はないけれど暑くはない。