俺はやや不機嫌そうな顔で声がする方を向いた。
相手はミディアムの髪を明るい茶色に染め、制服を着崩したチャラそうな女だった。
上履きの色が青だから同学年だろう。
「なに? 」
俺は努めて冷静に、しかし決して好意はないと言うかのような声を発した。
だが女はそれに気付く様子がない。
「キミ、神田雷でしょー。うちのクラスでもチョー有名だよぉ」
「そうか、そりゃ光栄だな」
だからなんだと言いたいのを抑えて、適当な相づちをうつ。
「うち、篠田 詩乃って言うんだぁ。良かったら友達になろーよ」
俺は内心ため息をついた。
誰がこんなやつと友達になんか…。
そう思ったが、一方でコイツを敵にまわしたら面倒だなとも思った。
だから俺は曖昧な笑顔で頷いた。
「あぁ、よろしくな、篠田」
「うんっ! ねー、うち雷って呼ぶかさぁ、詩乃って呼んでよぉ」
「…あぁ、分かったよ」
………………分かってねーよっ!
まあ仕方ない。諦めよう。潔く。


