あまりにも唐突に声を荒げたあたしに、その男は驚いたように体を起こした。


そしてあたしの事をまじまじと見る。


「は、何オマエ失礼。つか誰?編入生?」


ふぁ、とあくびをしながらあたしを見つめてくるソイツ。やだわもう。あくび顔まで綺麗とかどーゆーことよ。顔面を三回ぐらいコンクリに打ち付けてやりたい。


あたしはメガネをかしゃん!と床に投げつけてソイツの胸倉を掴みあげた。あああ、メガネ割れた!くっそ!


「あたしの事覚えてないって?なら思い出させてやろうか」


そのまま拳に怒りを乗せてソイツの頬にふりかざす。


だけどその拳が相手の頬にめり込むことはなかった。コイツ本当に嫌いだ!


「ナリってゆーの、あたし。思い出してくれた?」

「こんな事しなくても名前言われたら思い出すっつの。つかメガネ外した時点でわかってたわ。てことで謝れ」

「うるっさい!アンタこそあたしに謝れ!」