チッと舌打ちをしてあたりを見回す。まぁここも当然バカみたいに広い。


ベッド五つてどういうことよ。一人ワンベッド制?潔癖か。


しかもベッドの種類も違うし…あぁ、この乙女爆発なのはライのベッドだろうね。うん。


その時、ふと気が付いた。


部屋の一番奥にある最もシンプルなベッド。その上で眠る、一人の男の姿に。


目を奪われるとはこの事だろうか。その男を見るあたしの顔はさぞ間抜けなものだろう。


その顔はあまりにも綺麗で。


あまりにも、見覚えがあったから。


「誰、オマエ」


その声を、顔を、あたしは知ってる。


あぁ、あなたは…


「クソ男!」


あたしの最も嫌いな男じゃないか。