明日へのラプソディ


そして、あっという間に土曜日がやって来た。

「町田主任〜、こっち、こっち〜」

コンサート会場前の人混みの中で、香山さんがこっちに向かって叫びながら、大きく手を振ってくれている。私も小さく手を振りながら香山さんにヌスヌスと歩いて近づく。本当は小走りで行きたいところだけど、回りの女の子たちのキャピキャピさ加減に、33歳という年齢が歩みを遅くさせた。

「香山さん」

「お疲れ様です、主任」

「いやいや、そうじゃなくて」

「そうじゃなくて?」

「仕事や社員旅行で来てるんじゃないんだから、今日は『主任』とか止めてよ」

「じゃ、主任の事はなんて呼べばいいんですか?」

「普通に『町田さん』でいいよ」