「ああ」 「…電話番号、教えてくれる?」 私は鞄から携帯電話を取り出した。 「もちろん」 甲斐くんもポケットから携帯電話を取り出して、こっちを見た時、 「あっ」 と、私の胸元に気付いて声を出した。私のスーツのポケットには、後ろ姿の猫が張り付いていた。 「それ…」 「心細かったから、お見合いに、連れて来ちゃった、猫ちゃんボールペン」 「フッ」 甲斐くんは優しく笑って私のおでこを突っついた。