「香山さんって、ノゾミン?」
うっ、そこまで覚えてるんだ…。流石、マスター。
「はい」
「哉子ちゃんに、いい話してもらったから、俺の奢りだって言っておいたんだけど、聞かなかった?」
「あ、それは聞いたのは聞いたんですけど…」
「何話したか、記憶にない?」
うっ、バレてる。
「…はぁ、まぁ」
「ははっ。まぁ、座りなよ。まさか、ケーキだけ置いて帰るつもりじゃないよね?」
「…」
…そのつもりでした。
「今日は一人?」
「はい」
「とにかく座って。大丈夫、今日はちゃんとお代は貰うから」
「じゃあ」
って、何が『じゃあ』なのか、自分でも良くわからないままこの前と同じカウンターの席に座ってしまった。



