恐る恐るカウンターに近くと、カウンターの人は、改めて私の顔を見てにこやかに、
「いらっしゃいませ」
と、声をかけてくれた。
「あ、どうも…」
…しゅうちゃん、じゃなかった。そうよね、しゅうちゃんがいつもお店にいるとは限らない、よね。そうだっ、この人に、ケーキ渡して帰ればいいんだっ。そしたら、義理は立つ。
「座らないんですか?」
「あの…、これ、岡林さんに渡して下さいっ」
と、さっき買ってきたケーキの箱をカウンターの上に置いた。
「…ケーキ、ですか?」
「あ〜、先日、こちらで悪酔いしてしまってぇ、その〜、お支払いもせずに帰ってしまったようで…、そのお詫びと申しましょうか…」
モゾモゾと、喋る私を不審そうに見ていたパーテンのお兄さんだったけど、
「あっ!」
と、言ったかと思うと、徐にカウンターの奥の方に
「マスターっ!」
と、呼び掛けた。



