その日の放課後。
私は大学受験の過去問を探しに、資料室へ行った。
はぁー。
先生のいない大学なんて考えられないのになぁ。
誰もいない薄暗い部屋の明かりをつけて
古びた木で作られた本棚の中から、候補の大学名を探す。
今までたくさんの生徒たちが、こうして進路に悩みながらここの本を開いてきたのかな。
なんだかものすごい歴史を感じる部屋。
今ここで、
学校の制服を着て、大学の本を抱えている私は、
もう来年はここに存在しないんだ。
──────カツカツカツ……
─────────ガラガラガラ。
誰かの足音と
背中を向けていたドアが開く音がした。
誰?
ちらっと振り向くと目にはいる見慣れたジャージ。
ちょっと気まずく佐野先生が入ってきた。
え…なんで先生がここに……。