坂道を下ると窓を開けてくれた。
信号待ちの間、心臓がきゅーんと苦しくて。
外を見て紛らわす。
走っていて欲しいけど、まだ着きたくない…。
「…ほんと田舎だよな。いい景色。
エアコンより、外の風の方が気持ちいいだろ?」
先生は窓から片手を出して、前を見ながら話しかけてくれる。
「ふふふ。ほんと田舎だね。
私もエアコンより外の空気の方が好き。」
いつも見ている田舎の景色も、田んぼの臭いも、
先生と一緒だと特別キラキラして見えるんだ。
今の気持ちを、ずっとずっと忘れたくない。
「……あ!俺ケータイ忘れたかも。」
「え??…戻る??」
鞄の中を手探りで確認する先生。
ガサゴソ…
「んーー。…あった!」
少し期待しちゃったよ。
本当は、忘れていて欲しかった。
戻ってまだまだドライブしてたいのに…。
このまま道に迷ってしまえばいいのにと思った。
ずっとずっと、赤信号で止まっていればいいのにと願った。
先生、私こんなことばっかり考えて、ダメだね。

