「で、どうすんの?」


先生は片足に重心かけて立ちながら、あっけらかんと聞いてくる。

ちょっと偉そうな先生の立ち方にいつもドキッとする。



先生の顔を見ると、この人の唇が、私のほっぺたに当たったんだぁ……って思い出して体中が熱い。


本当に好き。


「…先生……もうちょっと、ここにいたい。」


下を向いて小さな声で呟いた。

聞こえなかったら諦めようなんて、独りよがりの無茶苦茶な賭け。



「はぁ~?」

聞き取ってくれた。

苦笑いしながら、呆れたため息と返事が一緒になって出てくる。


好きな人のため息ほど辛いものはない。

自分がいかに先生を困らせてるかって現実に気づく。


ごめん…こんな自分が嫌になる。


それでも返事を聞くまでは、諦めきれなくて、希望を捨てられなくて。 


「だめ…?」


こんなに往生際の悪い私は、先生に出会うまで自分でも知らなかった。


そんな情けない自分を知る度に、先生だけは、どうしても諦めきれないんだって想いも自覚する。