ドキドキドキドキ……



「じゃ。勉強頑張れよ!」


分厚い資料を片手に持って、机から腰を上げて立ち上がる先生。


「……うんっ。」


え?もう行っちゃうの…?

やだよ。
もっとここにいて。



そんな思いも届かず、先生は私に背を向けてドアの方へ歩いていく。



「…………っ。先生またね。」


私の精一杯の言葉。




「おう。また明日!」



────────ガラガラガラ───バタン。



…………。あぁ、行っちゃった。

一人になると急に部屋の静けさが増して、冬の空気がシンと音を立てる。



ただ、熱くなった体は熱を持ったままで。

ドキドキ鳴る胸は興奮を抑えられないままで。



夢、みたいな時間だったなぁ。

今日の先生はいつもと違った気がする…。



さっきまでの会話や仕草や笑顔を思い出して一人で先生への想いを強めていく。



口が悪いとこも、ニヤッとした意地悪な顔も、柔らかそうなジャージに包まれた逞しい体も。


大好き………。



はぁ。
先生、私に耐え凌がせる気あるのかなぁ??


こんなんじゃ益々好きになってっちゃうよ。