それから何度か、黒岩くんと授業で一緒になった。

 授業が終わってふと見ると、黒岩くんが眠っていた。

 そばに行って、顔をちらっとのぞくと、気持ちよさそうに眠ってる。

 眉間にしわ寄せてる顔しか、見たことが無かったから、なんだか別人みたい。

 きれいな顔してるのに、もったいないな。

 ちょっと見とれていると、口をパカッと開けた。

「チョコ」

 え? いつから起きてたの??

 じっと見てたのばれた?!

 ていうか、私、チョコの匂いしたのかな?

 確かにさっきまでチョコを食べていたけど。

「はい」

 チョコを一つ手のひらに乗せて差し出すと、口を開けた。

 そっと、口の中にチョコを入れると、ほんの一瞬、唇に指が触れた。

 ……と思ったらいきなり、わ、笑った!

 え?何?笑うとチョーかわいいんですけど。