石井くんのことを探す気も失せて、私は家に帰った。

 次の日から3日ほど、熱を出して寝込んだ。

 私、黒岩くんのこと好きだったのかな?

 こんなに寝込むほど?

 そうかもしれない。



 だって、黒岩くんの冷たい背中を思い出すと、涙が出る。

 黒岩くんの「チョコ」という時の顔を思い出すと、余計涙が出る。


 私、黒岩くんが好きなんだ。


 チョコを口に入れてあげた時に見せてくれた、あの笑顔が。

 友達を心配そうに見つめる、あの横顔が。

 私の隣で何も言わずに座っている黒岩くんの、眉間のしわが。

 普段は怖い顔してるくせに、すっこく甘党な黒岩くんが。

 私……大好きなんだ。

 
 
 自覚しちゃったら、あの女の子達が黒岩くんに言ったことを早く否定したくなった。

 私は次の日、学校中を探し回った。

 黒岩くんの、いそうな所。