その唇に魔法をかけて、

「あ、あの……やめてください」

 何度も顔を近づけられては身をかわし、その繰り返し。しかし、それが返って漆畑の加虐心を煽ってしまった。

「いいねぇこういうの、嫌がってる姿もかわいいよ」

(最低……!)

 近くで見れば見るほどガマ蛙にそっくりだ。限界を感じて立ち上がろうとしたその時。

「きゃっ」

「おっと! 危ない危ない」

 長時間の正座が祟ってか痺れた足に力が入らず、あっけなく膝をついてその場に倒れ込んでしまった。

「う~ん、可愛いねぇ」

 倒れた弾み露わになったふくらはぎを、、漆畑がいやらしい目つきで眺めている。

「い、いやっ」

「そんな嫌がらなくてもいいじゃないか、ね?」

 徐々に黒い影に覆われ、気が付くとその巨体に組み敷かれてしまっていた。ありえない状況に、美貴は完全に恐怖にのまれて硬直してしまった。

「誰も見てないから、ちょっとだけチューしよ、ね?」

「は、離してください!」

 分厚いナマコのような唇を尖らせて、目を閉じた漆畑が徐々に迫ってくる。なんとか絶対絶命を乗り越えてきたが、今度こそもうだめだ。逃げ場もない。

(誰か助けて!!)

心の中でそう叫んだその時だった。