その唇に魔法をかけて、

「愚痴ばかり言ってても楽しくないからな、せっかくこんな可愛い子が傍にいるならさぁ、もっと違う楽しみ方したってバチ当たらないよね?」

 意味深にニンマリとされて、尻を撫でられていることに加え、一気に恐怖感が襲ってきた。

「い、いや……」

 ――セクハラ専務。

 そんなフレーズが脳裏をよぎる。秘書を部屋から追い出したのも最初から手を出すのが目的だったのだ。

「ほら、こっち向いてごらん?」

 ヌラヌラと舌を舐めずって漆畑は徐々に距離を狭めていく。

 絶体絶命の窮地に立たされ、えずきそうになるその体臭が濃くなってくると、美貴は身を捩ってぎゅっと目を閉じた。