その唇に魔法をかけて、

「え? あぁ、そうですよ。彩乃情報ですか? まったく、なんでもかんでもペラペラと……。確かに私と花城は幼馴染みたいなもので、ほんと腐れ縁です」

 余計なことを言ってしまったかと思っていると、藤堂が明るく苦笑いした。

「でも、藤堂さんみたいにしっかりした人がマネージャーだったら、花城さんも安心ですね」

 笑顔を交えて何気なく言ったつもりだったが、藤堂が僅かに眉を寄せた。

「藤堂さん……?」

「腐れ縁といっても、私と彼とでは全く性格も違うし、よく喧嘩もしました。ここだけの話し、黎明館を今すぐにでも出てい行きたいと思ったこともあります。けど……私には彼を支え続けていく使命みたいなものがあるんですよ。それが結果として私に幸をもたらしたというか……」

 一点を見つめ、まるで独白のように呟く藤堂の表情は喜怒哀楽もなく、なんの感情も読み取ることができなかった。なにか思いつめているようにも見え、そんな藤堂に声をかけられずにいると、彼は何事もなかったかのようにふっと笑った。

「さて、ちょっとお喋りしすぎてしまいましたね、あなたも持ち場に戻ってください」

「はい」

(お夕食の準備、急がなきゃ!)

 藤堂の前を後にし、厨房へ向かう途中で再び花城と遭遇した。見ると、なにやら難しそうな表情をしている。