その唇に魔法をかけて、

 かえでにからかわれてそっぽを向いている藤堂に一歩前に出て、花城が右手を差し出した。

「誠一、ありがとうな」

 藤堂はその手をじっと見つめていたが、肩を落として小さくため息をついた。

「彼女を泣かせたら許さないからね。なんて……響也ならその心配はないか」

 藤堂はそう言って笑うと、差し出された花城の手を握った。

「美貴ちゃん。外国でも仲居の心得は一緒よ、頑張ってね。美貴ちゃんならまだまだ成長できるわ」

「美貴! 毎日メールするからね!」

 かえでと彩乃のエールに、美貴はこぼれそうな涙をそっと人差し指で拭う。そして花城と顔を見合わせて最高の笑顔を向けた。