その唇に魔法をかけて、

 予期せず藤堂に図星をさされ、バツが悪くなった龍也は拳を握って押し黙った。

「あはは、まったく……藤堂君にはかなわないな」
すると今まで沈黙していた政明が完敗だというように、声を立てて笑いだした。

「美貴……すまない。どうやらお前のためだと水野に提案されて鵜呑みはしたが……結局私自身のエゴだったな、お前の気持ちも聞かずに……許してくれ。許嫁の話はなかったことにしよう、いいだろう? 龍也」

 そう言うと、龍也は肩をすっと落とし、「仕方がないな……」と呟いた。

 美貴はそんな様子を見ながら、今にも零れ落ちそうな涙をそっと指で拭った。すると花城が座っている美貴の前で腰を折り、ふいに耳朶に向かってそっと囁いた。

「これでお前は自由で……俺のものだ」

 花城の吐息が微かに触れ、ゾクリと身体が震えた。そしてその次に沸き起こってきた照れくささに、美貴は俯いてそっと唇を甘く噛んだ。