その唇に魔法をかけて、

「美貴さん! 綺麗だね、なんなら私が嫁にもらいたいくらいだよ、わっはっは」

「お、おじさん……」

 緊張感の欠片もない龍也に藤堂は“ごめんね”と目で謝る。

 龍也は誠一の実の父ではなかったが、父親同然のようなもので今回も新郎の父代わりとして同席する。仲人はいない。

 通常仲人を通さない場合は、新郎側の父親が進行役なのだが、型にはまらない龍也に皆の不安がよぎる。

「さってと、じゃあ始めよっか! ね?」

 向かい合うと、藤堂が真摯な眼差しで美貴を見つめる。その視線はまるでもう覚悟を決めろと言われているようで心が痛かった。