その唇に魔法をかけて、

「水野さんに連絡はつきましたか?」

 誰と電話をしていたかなんて言った覚えはないのに、藤堂はお見通しだった。

「……はい、全部、聞きました」

「それなら、こちらから言うことはもうありませんね」

 藤堂は優しい。けれど、まるでガラスのように透明で無機質さを感じる。初めて会った時もどことなく近寄りがたい雰囲気があった。

「深川さん……お願いです」

 すると、藤堂がやんわりと身体に腕を回して抱きしめてきた。

「……響也じゃなくて僕を見て欲しいんだ」

 藤堂の腕の中は温かい。けれど、そんな温もりに浸る資格もないし、むしろ罪悪感を覚える。優しく包まれる度に胸が抉れてどうすることもできなかった。