その唇に魔法をかけて、

「こんなところにいたんですか、いきなりいなくなるから探しましたよ」

「っ!?」

 スマホを持って固まっていると、茂みの向こうから声がして肩がびくりと跳ねた。

「藤堂さん……」

 振り向くと、にこりと藤堂が笑む。同じように微笑んだつもりだったが、上手く笑えているかわからなかった。

 気持ちに応えることができない。藤堂はそう知っていてもやさしい笑顔を向けてくる。美貴にとってそれは不気味で、彼が何を考えているのか猜疑心さえ抱いてしまう。

「お話の途中に部屋を飛び出したりして……すみません」

 龍也が自分を部屋に呼んだのは、水野が言った事を説明するためだったのだろう。

(どうしたらいいの……?)

 ただ困惑するばかりで藤堂の視線が痛い。